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No.138 家族役員に過大給与の疑い

 

埼玉県内にあるA社は売上高数十億円の製造業で50年余りの老舗企業です。 

リーマンショックの時は売上が激減しましたが5年で切り返し、毎期利益を積み上げてきた名門企業です。

 

当事務所の顧問先になって3年目で税務調査になりました。税務署側は主要税務署の特別調査官他3名、会社側は経理部長が出席し、当事務所は代表税理士である私と池袋の担当税理士の2名で臨みました。

普段の経理会計事務は完全に会社側でやっていて、当事務所は決算申告と税務相談のみを担当しています。経理部長と打合せしたところ、前の税務調査が5年くらい前にあったが、経理部長一人で対応しほとんど問題が出なかったとのことで、今回もすんなり済むものと思われました。

 

調査第一日目、二日目は業務内容のヒアリング、売上の計上基準、材料仕入、外注費の支払基準、人件費、家賃、経費と通常通り進展しました。

調査第三日目に問題点の整理を行いました。

 

“主な問題点”

 

① 消費税の申告上、2年間続けなければならない「一括比例配分方式」を2年目で有利な個別対応方式で申告していました。

⇒ 1000万円位の修正申告(損金算入になります)

 

② 社長の奥様とお母様の役員報酬がこの2期間で毎期1000万円単位の値上がりをしていて、その勤務実態と値上げの根拠 

⇒ 3期間で値上げ合計約2400万円、支払う税金は会社側で約1000万円です。

 

③ 社長が行った海外での経費の損金算入根拠 

⇒ 3期間内で約500万円

 

この中で一番避けたいのが金額でみても今後の方針に影響が多い②です。①は単純ミスで修正申告はやむを得ません。③は交渉次第ですが、全額捨てても②を守りたいという戦略になります。

 

会社と当事務所は、②については会社の業績に連動した値上げであり、相談役としての仕事は重要であることを強調した「意見書」を作成し、③については海外での事業展開の視察などの必要性等を強調した意見書を作成し、税務署へ提出しました。

私の予想では税務署側が少々優勢に思えました。こうした場合、こちらがとる最後の戦略は時間稼ぎで時間切れ作戦です。調査の始まりが4月の初め、3回の臨場 を経て2回の打合せ、6月は目前になってきました。

 

税務署側は当初①~③の全てを否認するという勢いでしたが、出席者が2人になり年に一度7月10日の異 動(転勤)時期も近くなり、焦りが見えてきました。

ここは「意見書」が効果を発揮して粘り勝ち、①と③の半額程度の修正申告で済みました。(勿論すぐに修 正申告して納税することが条件です。)

②はやはり税務署で決める(更正)には根拠が不足していたのでしょう。社長も経理部長も当事務所もほっと胸をなでおろした瞬間でした。

 

平成30年10月12日

代表税理士 鳥山 昌則

担当税理士 今井 航也

 

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No.137 家族旅行は交際費か自己負担か?

 

 平成30年1月下旬に、東京23区内にある土木建築業の会社で2日間の税務調査がありました。

 

調査官は女性で上席国税調査官でした。

その後、何度も問題となった資料の提出依頼があり、税務署からの質問に対する返答とこちらからの意見書の提出などで、何ヶ月も結論が出ずにいました。

 

 【問題となった事項】

  (1)架空人件費(給与、外注費)か否か?

  (2)支払保険料の損金性

  (3)会社経費(交際費等)として認められるか否か? 

 

(1)(2)についてはクリアしましたが、(3)については最後まで争うことになりました。

 

具体的な内容は次の通りです。

 

当初、税務署はいずれも「社長に対する賞与」で、かつ、重加算税の対象(35%増し、延滞税は年度別に加重される)になるとの指摘でした。

賞与にされると、役員賞与は会社の費用にできず、また社長の個人の税金は増えるダブルパンチ・往復ビンタです。 とても承服できるものではありません・・・怒りが湧いてきました。

 

 ①外注、取引先等に渡したお車代

   (出金伝票はあるが領収書なし) 

 ②外注、取引先等に渡した商品券その他贈答品

   (品物、相手先し不明) 

 ③社長、奥様の漢方薬代 

 ④家族又は取引先等と行った旅行代(同行者不明)

 

特に③④については、租税特別措置法61-4、措置法通達61-4-1-22、H15.9.9東京高裁判決をベースに税務上の交際費の3要件(支出相手、行為の形態、支出目的)を全て満たしている旨の意見書を提出しましたが、それに対する税務署の反論(あくまで個人で負担すべき費用との考え)があり、しばらく見解の相違ということで平行線をたどることになりました。

 

❏交際費等の定義(租税特別措置法61-4-3) 

 交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの

 

❏交際費等の支出の相手方の範囲(措置法通達61-4-1-22) 

 「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」には、直接当該法人の営む事業に取引関係のある者だけでなく間接に当該法人の利害に関係のある者及び当該法人の役員、従業員、株主等も含む

 

最終的に、①②については会社経費として認められました。

 

③については、今後の指導事項となり修正するには至りませんでした。

 

当事務所の見解はあくまですべて会社負担の交際費です。

 

④については、今回は税務署の立場を少し立て修正に応じましたが、「社長に対する賞与」としてではなく「社長に対する貸付金」として決着することになりました。 当然、重加算税ではなく過少申告加算税です。

 

修正申告の内容は以下の通りです。

 

 1.法人税 : 交際費等の否認、認定利息(利率1.5%)の計上 

 2.消費税 :  1.に伴う消費税の課税区分変更による修正

 

今回は、1月に税務調査が始まり6月中旬に決着しました。

税務署は毎年7月10日に異動があります。 6月には税務調査をまとめあげなくてはいけないという心理が働く筈です。 

カウントダウンの中でギリギリになって交渉をまとめることは、やっかいな税務調査のテクニックのひとつです。

 

「肉を切らせて骨を断つ」ノウハウです。

最終的に200万円の税金が50万円で済んだのですから、社長と奥様は大喜びで、ほっと一息でした。

  

平成30年8月9日

和田

 

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No.136 消費税の更生の請求による調査回避

 

 消費税の更正の請求は税務調査になりやすい案件で、当事務所が申告した消費税の申告は税務調査もなく、認められました。

 

平成28年5月、東京都荒川区のB氏からご相談を頂きました。

毎年、B氏はご自身で確定申告を行っていましたが、今年、初めて消費税課税事業者となりました。そのため、消費税の申告をした所、あまりに納付額が過大であるため、消費税を納めることができず困っているというものでした。

ご依頼を受け、早速、B氏のもとに伺い、消費税・所得税の確定申告書、収支内訳書、原始証憑(金銭出納帳)及び、お会計票(売上)並びに領収証(仕入・外注費及び経費)の点検を行い状況確認しました。

 

B氏との打合せで詳しくお話を聞いた所、給与として当初申告したものは本来、外注先に対する支払であることがわかりました。B氏の業務の実態は、外注先に場所を貸し与えているに過ぎず、外注先が自らの営業で収入を稼いでいることが判明しました。このため、実質的収入は貸ホールによる飲食の提供と関連雑貨品の販売によるものであるとお客様のお話を聞き、実情を知り結論付けました。

 

消費税は、売上に係る消費税から仕入れ(経費)に係る消費税を差引き残額を納める仕組みになっています。給与の場合は控除できる消費税がなく、外注費の場合は控除できる消費税があるため、給与とするか外注費とするかで納める消費税額が大きく変わってきます。

 

当初申告に給与としていたものは、外注費であり納税者の収支内訳書上の記入場所の誤りという結論に至りました。

しかし、更正の請求書をただ提出しただけでは、確実に調査になると思い、意見書と証明書類を添付し、消費税の更正の請求書を提出したところ税務調査もなく、無事決定の通知を頂きました。

これにより、80万円近くの納付額が、数万円までに減額することに成功しました。

 

事実に基づき証拠資料をまとめているため、仮に調査になったとしても正々堂々と調査を受ける覚悟ではありましたが、事前の備えをしっかりと行ったことにより何事も無く決定を頂けたことは、長年の経験と勘がなければ成し得ないと思います。

 

平成28年7月29日

中村

 

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No.135 医療法人における社会保険診察報酬

 

平成28年6月中旬、東京都足立区にある医療法人Aに税務調査がありました。

 

この医療法人Aは都内に2つの病院を展開しており、主な収入は、社会保険診療報酬及び自由診療によるものです。この医療法人Aの他に、関連会社が2社あり、その関連会社から看護師等が派遣されていました。

 

今回の税務調査で確認されたことは主に次の3点でした。

 

まず、売上の計上方法についてです。

期中は現金主義で、入金があった分を売り上げ計上しています。売上の記録方法は、診療報酬の内、保険適用分は電子カルテの記録を日計表に入力し、自由診療は紙に記録していました。

調査官は総勘定元帳の売上勘定の社会保険診療報酬の計上漏れがないかを確認しました。社会保険診療報酬は2か月後に入金になるので、2か月後に入金になる分が売上計上されているかを通帳と元帳を付け合せました。決算確定時には最終月の入金額は確定していないので概算額で売上を計上している旨を説明し、実際の入金額とは若干異なっていましたが計上されているので問題は特にありませんでした。

 

次に薬品等の在庫状況についての確認でした。

棚卸表については毎期実地棚卸をしているので記載内容については問題ありませんでした。

薬品等の仕入を請求書で確認したときに、薬品の使用頻度が少ないのに仕入れた薬品の在庫が棚卸表に載っていませんでした。金額は20万円ぐらいでしたが、前期に在庫がなく、決算月初旬に仕入れているので明らかに在庫があると思われるとの見解で、持ち帰り検討となりました。

調査後に事務長に確認したところ、在庫表のフォーマットが前期のコピーなので、新規で仕入れた薬品が漏れてしまった可能性があるとのことでした。

(後日この在庫については金額も僅少なので、今回は指導ということなりました。)

 

最後にネットや新聞等の掲載に関する広告費についてでした。

ヤフー等のネット広告の掲載料を毎週定額で支払っているが、掲載期間と料金が対応していない(前払費用)ではないかとの指摘に、事務長より料金システムについて説明をしてもらいました。また、日刊新聞、雑誌等の掲載契約についてもその日の新聞の空いているスペースに入れ込む契約で、毎回掲載面積が変わり料金が調整されます。掲載した証拠として毎回新聞が送られてきます。その新聞を調査官にも見てもらい、これらについても問題とはなりませんでした。

 

今回の調査は、日ごろから毎月月次をきちんとやっているお客様で、帳票類もそろっており、税務署員からの質問にも即座に答えられ、経理内容もしっかりしていたことから、特段の問題もなく、是認という形で税務調査が終了しました。

 

平成28年7月15日

有山 

 

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No.134 仕掛工事の期末計上

 

 6月の上旬に志木市の塗装業の会社に税務調査がありました。この会社は設立後7期目で初めての調査でした。

 

当日は調査官が一人で来て、今回の調査では主に、売上と外注費について調べられました。売上について計上もれはないか、また、外注費については、請負契約書、領収書などの確認と共に、出面表の提出が求められ、実際仕事をした外注先の氏名や何日に何人仕事をしているかの売上との対応が確認されました。

 

今回の調査で指摘された点は次の3点でした。

 

  ① 仕掛工事計上もれ

  ② 売上計上もれ

  ③ 請負契約書の印紙代不足 

 

①の仕掛工事計上もれは、決算月の売上に対して、材料費、外注費などの経費の金額が多かったため、仕掛工事があるのではなかとの指摘をうけ確認したところ、決算月に工事は完了していたが、ペンキの事故があったため請求をしていなかったことが判明しました。調査官から仕掛工事の金額はいくらか聞かれましたが、その売上に対する材料費や外注費等の金額が把握できていなかったため、簡便的な方法により期末棚卸高を計算する方法を提案しました。

 

②の売上計上もれは、現金売り上げが少額でしたが、領収書の計上が漏れていたため、未計上であることがわかりました。

 

③の請負契約書の印紙代不足は、外注先と請負契約を交わしていたのですが、継続的に契約する場合(3ヵ月超)には、第7号文書として収入印紙を4,000円貼らなければならないところ、第2号文書である200円分の収入印紙を貼っていたため、印紙税の不納付を指摘されました。

 

現金の売上の計上もれ、印紙税の不足については、追加課税になりましたが、期末棚卸については簡便的な方法による計算が認められ、未請求分の売上については計上もれにならないで済みました。 

 

平成28年6月3日

高久

 

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No.133 非居住者に利息を支払った場合

 

平成28年4月、埼玉県新座市のA社に税務調査が入りました。

 

法人税と消費税の申告内容には問題なかったのですが、源泉所得税について指摘されました。

A社は資金調達のため社債を発行しており、社債利息を支払った際には源泉徴収して翌月10日までに納付していました。

調査の際、調査官に社債利息の明細を見せてくれと言われ明細を確認したところ、源泉徴収しているものと源泉徴収していないものがありました。

 

社長になぜ源泉徴収していないのか聞いてみると、非居住者だからという説明を受けました。

社長は非居住者に支払った社債利息だから源泉徴収しなくても良いものだと言っていますが、根拠は数年前に見た新聞記事とインターネットの書き込みでした。

 

確かに社債利息を支払った際に非課税になる場合があるのですが、それは証券会社等が一定の要件を満たした場合に支払う社債利息です。

一般の会社が社債利息を支払って源泉所得税が非課税になることはありません。

この会社は自計化されており、当事務所で申告書を作成する際に源泉徴収した預り金の残高が残っていなかったので何の疑問点も抱いていませんでした。

社長に社債利息を非居住者に支払った場合には源泉徴収する必要がある旨を説明し、納付漏れになっていた源泉所得税を納付してもらい調査が終了しました。

 

なお、この会社は後日、租税条約に関する届出書と租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書を提出して、日本とB国との間での限度税率以上の税金の還付を受けました。

  

平成28年5月13日

吉田

 

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No.132 消費税還付で確認調査が行われたケース

 

東京都池袋の中古ビルを8億円で親子で購入したお客様に、税務調査が入りました。

 

8億円のうち建物代金が3億円で、消費税が約2,400万円、これを還付してもらう申告、いわゆる「消費税還付申告」を行ったのです。

契約は9月、決済引渡しが10月でしたので、10月を消費税の課税期間に区切る消費税の課税期間の特例の届出書(1ヵ月)と同時に、消費税の課税事業者選択届出書を9月末日迄に親子ともに所轄税務署へ提出しておきました。

 10月20日に決済引渡しが無事に終了し、12月末日迄に消費税の還付申告を行いました。概要は以下のとおりです。

 

  父  既に給料と年金、不動産所得あり。

     アパート1棟(収入約500万円)

     店舗事務所(収入約500万円)

     ビルの持分は共有で1/2

  息子 給料のみ

     ビルの持分は共有で1/2 

 

このケースで、消費税を還付してもらうのは割と簡単です。ビルで賃貸するのはすべて店舗事務所で、事業用課税資産の取得だからです。但し、油断は禁物です。決済引渡しの前月までに前述した手続き(届出)をしないと還付はアウトなのですから。早めの相談が必要ですね。

 

もう1つ、このケースで肝になるのが消費税の課税仕入の計算方式の一つである「個別対応方式」を採用しないといけません。特に父親の方は、既に非課税売上であるアパート収入があります。今回の物件の消費税だけに切り離す「個別対応方式」が必須です。それともう1つ消費税の経理方法を“税抜経理”を忘れずに。これを“税込経理”にしてしまうと還付金が雑収入になり、還付された年の所得税等がど~んと増えてしまうためです。ややこしいことだらけですね。だから、税金のことは税理士へ、税理士の中でも超一流の鳥山会計へ早めのご相談を!!

 

さて税務調査ですが、消費税還付の場合は、まず税務調査はあると覚悟して下さい。「えーっ、税務署の人と会うのはちょっと…」となる方も多いので、鳥山会計では、消費税還付手続きをパックでお引き受けしております。還付金(還付加算金を含む)の原則28%を成功報酬で受け取り、3年間の申告と税務調査の立会も含んでいます。消費税の税務調査については、原則的に当事務所で税務署員と行います。つまり、納税者であるお客様は、原則税務署員と会わなくてもよいのです。

 

今回のケースでは、お父さんの3年分の所得税の申告内容も調査させて欲しいということで、当社池袋事務所で半日程度で済みました。

当日は、調査官1人で来ました。年配の方で、60才定年後の再任用の方です。東京局ではかなりの確率でこの再任用の方に当たります。ほとんどの方が上席か調査官の肩書きです。税務署もベテランの人材不足のようです。彼らの特長は、ベテランで要領よく調べてくれることと人情味があることで、割と早く調査の時間が済み、結果も早くわかることです。

 

消費税は書類審査です。片っぱしから調べますが、消費税法の規定に合っていれば大丈夫です。今回は、父親が昔、個人で商売をやっていたときいたので、「消費税の簡易課税選択届」の届け出が昔、出されていたとしたら、「消費税の簡易課税の選択不適用届」を9月迄に提出しないとすべてアウトになってしまうのです。私の運試しと思っておそるおそる調査官にきいてみると、簡易課税ではないとのこと、助かりました。結局、消費税還付は2人ともOKとなり、翌月には還付されました。

 

ちなみに、消費税の還付は還付加算金(税務署から納税者に支払う利息に相当し、年利4.2%くらい)が増えるので、還付を保留にして早めに税務調査になります。還付申告が12月末で税務調査が1月か2月、OKとなれば、すぐに還付金の振込となります。

 

今回のケースは、父親の所得税について前の税理士の時の誤りが見つかり、若干の修正申告ですみました。

 

平成28年5月6日

鳥山

 

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No.131 社長の趣味の車を会社の経費にしていたケース

 

 板橋区で板金工場を営んでいる法人に税務調査が入りました。

 

当事務所の顧問先ではないのですが、顧問税理士を依頼していないので、知り合いの紹介で当事務所に税務調査の立会いを依頼されました。早速、社長のご夫婦にお会いして打ち合わせをしてみると、問題点は次のようなものでした。

 

①社長が趣味でほとんど乗っている乗用車(800万円で購入)の減価償却費とそのガソリン・車検代・自動車保険料・駐車場代を100%経費にしていること

②自宅兼事務所の家賃を本来30%くらいの事務所の使用が適切なところ50%を経費にしてきた

 

両方共通しているのは、社長個人が本来負担すべきところを会社に負担させている、いわゆる、個人経費のつけ回しです。中小同族会社ではよくあることです。よくあることなので税務署は相当に訓練してやってきます。

 

これに対する対策は①については車の使用を仕事の為にいかに使っているかを記録にとりアピールできるかと、②については材料置き場、作業所のスペースをいかに多く見せてアピールできるかにかかっています。

税務署には、当事務所が当該会社から代理権限証書を取得したことを告げ、日程を長めにしてもらい、その間に対策を実行してもらいました。

 

さて、税務調査の当日、調査に訪れたのは、統括官(現場の長、一般の会社では課長クラス、50代くらい)と、新米とみえる女性の財務事務官(一番若くて調査の駆け出しで肩書きがない。20代後半くらい)の2名で、会社にとってラッキーなことに、めったに外に出ない統括官が新米の教育の為に出てきた調査らしいとうことです。

 

事実、女性の事務官に主体的に質問するようにさせていました。ただ、この事務官の要領が極端に悪く、結局、統括官が核心を聞くという展開になりました。

当事務所のいつものやり方で、税務署が2日調査日程をいってくるところ、当事務所がお願いをして、原則1日の日程の調査の為、カウントダウンになり、売掛金、買掛金の問題が浮上し、経費はあまり見る時間がなく、その日は終了しました。後日、売掛金、買掛金の金額を合わせる為のやりとりを1ヶ月間くらいやり、結局、差し引きわずかの修正申告で済みました。心配していた、個人的な経費の問題は指摘されずじまいでした。本当にラッキーといえます。

 

但し、今後は適正な使用割合に是正していくことは当然であり、当事務所に顧問を依頼して頂けました。

 

平成28年4月28日

鳥山

 

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No.130 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

 

平成28年2月、埼玉県内のA社とB社に税務調査が入りました。

 

A社とB社は決算月・本店所在地・代表取締役(以下「社長」という。)が同じ会社で、2社同時に税務調査になりました。

社長は人脈が広い経営者で幅広く業務展開しており、A社でコイン式コーヒーマシン(以下「マシン」という)を購入して取引先に設置させてもらう予定で、マシン10台(1台29万円)を日本国内の業者(以下「C社」という)から購入し、少額減価償却資産として全額損金算入していました。

 

マシンは外国製で、取引先に設置すると不備が発生しました。

マシンを修理して使用することを検討しましたが、マシンは外国製のため日本の規格に適合していないことが判明して止むを得ずマシンをC社に引き取ってもらい廃棄処分することになりました。

 

税務調査の際にこのマシンについて以下の内容を指摘されました。

 

1. マシン10台すべてを事業の用に供していたのか。

2. 設置していないマシンがあれば損金算入は認められないのではないか。

 

社長は調査を早く終わらせたいという一心で、マシン10台すべて設置したとか10台すべて廃棄したとか曖昧な返答をしてしまい、勘の鋭いベテラン調査官が内容を細かく聞いてきました。

調査の当日は時間の関係で結論が出なかったのですが、後日、エビデンスを税務署に提出するということでその日の調査は終わりました。

 

A社はマシンを廃棄した際の書類を保管しておらず、C社に廃棄証明書を作成してもらい税務署に提出しました。

 

調査官はC社が作成した廃棄証明書を不審に思い半面調査に行きました。

半面調査の際にC社の社長が慌てて曖昧なことを言ってしまい、調査官は更に不審に思い損金算入した290万円については否認して重加を課すと言ってきました。

 

A社C社の社長と、調査官の言っていることに整合性が取れなかったため、A社C社の社長と鳥山が税務署に出向いて、調査官に真実を説明しました。

誠意をもって真実を説明し、損金算入が認められました。

 

少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例は、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、事業の用に供した事業年度で損金算入している場合に年間300万円以下について申告の際に明細書を添付して損金算入が認められる特例です。

今回の調査では、事業の用に供していないものについては廃棄損として処理すべき内容だと指摘されましたが、所得金額に影響がなかったため、申告是認ということで調査が終わりました。

 社長も当事務所もほっとしました。

 

 

(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)

 

第六十七条の五  

第四十二条の四第二項に規定する中小企業者又は農業協同組合等で、青色申告書を提出するもの(以下この項において「中小企業者等」という。)が、平成十八年四月一日から平成二十八年三月三十一日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産で、その取得価額が三十万円未満であるもの(その取得価額が十万円未満であるもの及び第五十三条第一項各号に掲げる規定その他政令で定める規定の適用を受けるものを除く。以下この条において「少額減価償却資産」という。)を有する場合において、当該少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき当該中小企業者等の事業の用に供した日を含む事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。この場合において、当該中小企業者等の当該事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が三百万円(当該事業年度が一年に満たない場合には、三百万円を十二で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額。以下この項において同じ。)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち三百万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額を限度とする。

2  前項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。

3  第一項の規定は、確定申告書等に同項の規定の適用を受ける少額減価償却資産の取得価額に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。

4  第一項の規定の適用を受けた少額減価償却資産について法人税に関する法令の規定を適用する場合には、同項の規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額は、当該少額減価償却資産の取得価額に算入しない。

5  前三項に定めるもののほか、第一項の規定の適用がある場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 

平成28年4月22日

吉田

 

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No.129 相続時における金銭の移動

 

平成28年3月に東京都板橋区の方の相続の税務調査がありました。

 

この調査で争点となったものは以下の3つです。

 

1.被相続人からの相続人に対する金銭の移動

2.生命保険の生命保険契約に関する権利

3.被相続人が負担した葬式費用

 

1.の金銭については調査官が事前に口座を調べており、指摘されて金銭の移動があったということが発覚しました。

金額としては合計で1,650万円にもなり、これは相続人がその金銭を株式投資に使っていたことから、被相続人から相続人に対する立替金として追加で課税されることとなりました。(但し、相続人の記憶の範囲内ということで小額(50万円迄)の分は除外してもらいました)

 

2.の契約に関する権利については、当事務所としては財産性があると分らなかったがゆえに当事務所に報告をしていなかったと判断しました。

税務署は相続税の申告前に満期保険金を収受していることから財産性があるとわかるはずだと主張しました。粘り強く交渉をしましたが認められず、これは意図的に隠していたものだということで、重加算税がかけられることになってしまいました。

 

3.の葬式費用は、先に死亡した母親の葬式費用500万円を今回の被相続人である父親が負担していましたが、分割協議書から相続人が負担すべきものでこれも立替金になると税務署は主張しておりました。

しかし、分割協議書に記載されていた内容は負債についての処分であり、葬式費用については言及されていなかったため、それならば慣習として夫が負担することが一般的で立替金ではないという当事務所の主張が是認されました。

  

平成28年4月15日

金城

 

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No.128 現金による売上の計上漏れ

 

 平成27年12月に、新座市の建設業を営む法人が税務調査となりました。

 

年末年始をはさんでいたため、最終的には平成28年の2月までに2日間で行われました。

調査となる数か月前に「申告内容等についてのお尋ね」という書類がお客様の元に届きました。

そのお尋ねの内容は、売上高について、ある特定の期間の金額、決済方法を各月別にお知らせください、というもので総勘定元帳や明細書等の写しによる回答でも差し支えないというものでした。

 

調査は現金による売上の計上漏れを調べるものでした。

税務調査の結果、現金でもらった紹介料については売上として計上していないことが判明しました。社長の考え方として、紹介料としての売上は接待に使い、ほぼプラスマイナスゼロとなるため売上も経費も計上しない、という発想のためでした。

 

調査官に社長の考え方を理解してもらい、修正申告では売上と経費の両方を計上することでわずかな修正申告で決着となりました。

  

平成28年4月8日

髙野

 

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No.127 とりやま新聞2016年春号を発行しました

 

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No.126 売上・仕入の両建処理の失念

 

和光市内の旅行会社 A社について調査がありました。

 

旅行代金の入金は銀行振込もありますが、現金での回収も多く、今回の調査でも旅行内容が書かれている請求書と売上との照合が行われ、45万円ほどの旅行代金1件の売上計上もれが判明しました。

この件については修正申告を提出し、重加算税を課せられてしまいました。

このほかに取引先Bとの取引について、仕入と売上両方についての計上漏れが判明しました。

A社においては、ほとんどのお客様からマリンスポーツ等のオプションの依頼があります。

 

A社ではオプションの申込があった際に決まって発注する取引先があったのですが、資金繰りの関係で代金の支払いが滞ってしまい、2年ほど前からオプションを依頼されたお客様と取引先とで直接取引をしてもらう流れになっていました。

取引先は、お客様からオプション代として「定価の金額」を受け取ります。

本来でしたらA社が売上と仕入を計上し、その差額がA社の利益となりますが、直接取引によりA社が得ることができる利益分も滞っていた買掛金の返済に充当していました。

 

具体例を示してお話をしてみたいと思います。

定価10,000円、原価4,000円の場合、A社がお客様から10,000円を受け取り、取引先に4,000円を支払って、6,000円がA社の利益として残ります。

この流れがお客様と取引先Bとの直接取引に変わったことにより、A社にお金が入らなくなったため、経理上の処理を何もしていませんでした。

しかし、実際には、6,000円が滞っていた買掛金の返済に充当されていたっため、売上もれとなってしまうわけです。

 

それと同時に仕入の計上もしていませんでした。この流れが2期前位から続いていたこともあり、税務署員の方も困った様子でした。

A社からすればお金の流れが何もないため問題ないと思っていたそうですが、直接取引でお金の流れが変わることによりA社の仕入と手数料売上がもれてしまっていたのです。

 

最終的に仕入の計上もれの方が売上の計上もれを上回っていたこと、調査の日程が少ない中で2期分の計上もれを追っていく時間がないことで、この件については指導という形で会計事務所に委ねられました。

また役員からの借入金が多かったのですが、このお金の出どころについても細かく聞かれました。税務署とすればこの役員からの借入金が、計上していない売上金なのではないか?と疑うようです。

現金取引が多いことや、取引先との間に手数料が発生する場合は、計上漏れがないか注意が必要です。

  

平成28年4月1日

村上

 

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